最初に、危険・有害業務を行うときの、労働安全衛生法(安衛法)が定める資格制度と特別教育について、そのルールを確認しましょう。
安衛法では、危険な、あるいは有害な作業を行うとき、
① 作業を適切に行うために危険有害業務に従事させる労働者が持つべき資格(就業制限)
と、
② 作業管理を適切に行わせるための作業指揮者の資格(作業主任者)、
この二つを規定しています。
わかりにくいのは、①の「作業主任者」と②の「就業制限」のどちらにも、これらの資格を取るための制度として、『国家免許』と『技能講習』があることです。
例示すると次の表1のようになります。
表1
「作業主任者」とは、労働災害防止のための管理を必要とする一定の危険有害業務について、事業者に選任を義務付けている作業の指揮などを行う者のことであり、事業者はその作業を行うとき、作業主任者を選任し、その作業主任者に適切な作業方法を決めた上で作業指揮を行わせ、作業中の作業者の保護具の着用管理などの職務を行わせる必要があります。
「就業制限」とは、不適切な作業方法による労働災害を防ぐため、一定の危険有害業務については、安衛法の資格を有する者以外、その作業を行わせてはいけないということです。
また、『国家免許』は、原則、国家試験に合格する必要があり、『技能講習』は、都道府県労働局長へ登録した教習機関が実施する、定められた科目と時間数の学科や実技を学び、最終日の試験に合格することにより修了し、有資格者となります。
さらに、別の安衛法のルールとして、危険・有害性はあるもの「就業制限」を求める作業より危険・有害度の低い作業については、作業を行う労働者に『特別教育』を行うことを求めています。
次の表2になるような作業がその代表的なものです。
表2
ざっくりまとめると、一定の危険・有害業務を行う際には、
① 適正な作業管理のため、「免許」や「技能講習」資格を有する『作業主任者』の選任が必要
特に危険性・有害性の高い業務を行う際には、
② 作業を直接行う労働者は、「免許」や「技能講習」の資格が必要
これら以外に、危険・有害業務を労働者に行わせる際には、
③ 作業を直接行う労働者に、「特別教育」が必要
なお、これら①から③の資格を有し、あるいは教育を受けていても、5年ごと、あるいは作業内容が変更の際には、
④ 災害事例や技術向上などの動向を踏まえた「能力向上教育」が必要(努力)
です。
では、次ページ以降で、ボイラーや圧力容器の資格等について確認しましょう。